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会社の本質を見抜くには!?「デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座」

   

この本は、M&Aの世界で働く著者が、企業買収を実行するにあたって、どのような基準で企業価値や事業価値を評価していくのかを、事例を挙げて説明したものです。

経営企画部門に所属しているビジネスマンの方にオススメの1冊です。

デューデリジェンスとバリュエーション

M&Aを実施するにあたって、企業を精査し、これまでの本質的価値を見抜く作業を行います。これを、M&Aの世界ではデューデリジェンス(企業精査)といいます。これに対し、企業の妥当な価格を算定する作業をバリュエーション(企業価値評価)といいます。

M&Aを実施する段階においては、いくつかの段階があります。まず、投資先企業の過去の財務諸表とそれまでの事業構造を分析します。それによって、今後、この事業構造がどのように変化していくかを見極めていきます。ここまでが、デューデリジェンスの作業です。

そして、将来の事業構造がもたらすと思われる、将来の企業価値を推計する作業を行って、最終的にいくらの金額で買収するかを決定するのです。この最終作業をバリュエーションといいます。

 

分析の視点

企業を理解するために、もっとも便利なのが損益計算書です。しかし、損益計算書は企業業績という結果をあらわすだけですので、企業を真に理解するためには次に挙げる「周辺」項目にも目を向ける必要があります。

(1)社会動向

社会の価値観は新たな需要を生み出し、企業はそれに対応する形で事業活動を始めます。例えば、ストレスが現代社会の一般通念になると、マッサージやリラクゼーション産業が一気に花開きました。

(2)市場構造、産業構造

新しい市場(業界)が形成されると、さまざまな企業が新規参入して競争が生まれます。すると、企業行動は顧客だけを見てビジネスをするのではなく、ライバル企業との戦いに勝つための行動も取るようになります。

そして、ライバル企業に勝つために、企業は独自のビジネスモデルを作り上げることになります。

(3)マクロ経済

マクロ経済の三大要素は、為替・原油・金利です。これらは、それぞれ収益構造に影響を与えています。

例えば、原油価格が上がれば製造業にとっては製造原価が上がってしまうため、原油価格の値上がり分を販売価格に転嫁できなければ営業利益が圧迫されます。

そして、金利が上昇すれば、有利子負債を抱える企業にとっては支払利息が増えてしまいます。また、為替の変動は、グローバルに事業展開する企業にとっては売上やコストに大きな影響を与えてしまいます。

 

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貸借対照表

貸借対照表は企業の「状態」を表します。そして、貸借対照表から事業実態を評価するうえでは事業用資産が重要です。これは、その名のとおり、事業運営に使っている資産ですが、建物や設備などの有形固定資産と、ソフトウェアなどの無形固定資産があります。

そして、とくに事業用資産の劣化可能性を見る必要があります。よくみると、棚卸資産や在庫(製品・原材料・仕掛品)などは、実際は資産価値がない場合も多く、評価するにあたっては6割程度で評価するのが妥当だと思います。

また、工場などの固定資産は、一気に価値がなくなる可能性があるため、ゼロ評価する場合もあります。

 

三菱地所の分析

有価証券報告書によると、ビル事業、住宅事業、海外事業の3事業から売上の大半を稼ぎ、なおかつビル事業によって利益の大半を稼いでいます。

ビル事業は、自社でビルを保有し、賃借することにより収益をあげる純粋なアセット型のビジネスです。また、住宅事業は、住宅を建設・販売し、収益を得るフロー型のビジネスです。そして、海外事業は、海外におけるオフィスビルの開発・管理・運営・不動産仲介を行っています。

事業価値を評価するには、主に3つの評価方法があります。

  1. 資産が生み出す収益やキャッシュフローをもとに、事業の価値を分析する
  2. 貸借対照表に載っている資産の価値を分析する
  3. 類似した業態の会社と比較する

通常の事業価値評価は、資産が生み出す収益やキャッシュフローをもとに事業価値を算定します。しかし、資産が生み出すキャッシュフローの水準よりも、資産そのものを売却した方が価値が高くなる場合には、資産価値を分析する方が有効です。

三菱地所のビル事業の場合、リーマンショックで地価が底値をつけた時点でも、資産価値で分析すると約4兆円(2008年時点)となり、キャッシュフローで評価すると、約1.1兆円(2008年)となります。

 

企業分析や企業価値を評価する能力は、M&A関係のビジネスマンだけでなく、経営企画部門で働くビジネスマンにとっては必須とも言えるスキルです。これらのスキルを身につけることによって、経営企画部門として、自分の会社の強みと弱みを分析することができ、弱みを改善し、強みをさらに強化することができると思います。

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