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金融市場をしっかり理解しているか?「ソロスの講義録 資本主義の呪縛を超えて」

   

この本は、著名な投資家ジョージ・ソロスが、故郷であるハンガリーのブダペストに、自身が開設した中央ヨーロッパ大学で講義した内容を収録したものです。主に、金融市場に対する見解を述べています。

日本の経営者や、投融資を決定する立場にあるビジネスマンにとっては、参考になる教科書になるのではないでしょうか?

ソロスが通貨ユーロの構造的欠陥について講演などで語ったものはこちらにまとめております。

金融市場の二大原則

ソロスは、金融市場については、ふたつの基本原則を持っています。

第一の原則

市場価格は、その根本にあるファンダメンタルズを常に歪めます。歪曲の度合いは、無視できる程度の微々たるものから、大々的なものまで、さまざまです。

この考え方は、効率的市場仮説とは真っ向から対立する見解です。効率的市場仮説によれば、市場価格はファンダメンタルズに関する入手可能な全情報が考慮された形で決まることになっているためです。

第二の原則

金融市場は根底にある現実を反映するだけの受け身の存在ではなく、積極的な役割をも果たしています。金融市場での市場価格は、それらが反映されているはずのファンダメンタルズに、逆に影響を与えることもあります。

 

バブル発生から、崩壊までのサイクル

バブルは、現実的なトレンドと、トレンドに関する誤解が、お互いを強化しあうようになる形から始まります。そして、トレンドが負のフィードバックを跳ねのけるほどに強靭である場合には、トレンドそのものと、トレンドに関する誤解が、どんどん強化されていくことになります。

その結果、市場における期待は、あまりにファンダメンタルズからかけ離れたものとなり、市場の参加者も、皆さすがに誤解があるということに気づき始めます。

そこから先は、黄昏の時間です。市場参加者の中で、ブームが続くことへの確信を失う者の数は増えますが、惰性の力だけでブームはとりあえず続いてしまいます。

そして最終的に、トレンドが逆転する瞬間が訪れます。そこからは、バブルが育っていった時とは逆方向に、自己強化的な変化が加速していくのです。

 

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バブルにおける不動産

バブルの例として、もっともわかりやすいのが不動産バブルです。不動産バブルの場合、バブルに先行するファンダメンタルズの状況は、「金利が低くなり、借金がしやすくなる」というものです。

金利が下がって借金がしやすくなれば、不動産の売買は活発になり、新たな借金の担保となる不動産の値段も上がっていきます。債務不履行の件数も減り、金融機関の業績は向上し、貸出の基準も緩和されます。このため不動産バブルの頂点では、不動産に対する融資の額が最大となります。

一方、ひとたびバブルが崩壊に向かうと強制的な清算が発生して不動産価格は大きく下落することになります。

 

金融危機とバブルの関係

歴史的に、バブルが膨張する過程で、何度か金融危機が発生しています。

アメリカにおける金融危機だけでも、最初の深刻な危機は1982年に起きた国際銀行危機でした。その後も、1987年10月のポートフォリオ保険の大破局、1989年から1994年までさまざまな事件を引き起こしつつ続いた貯蓄貸付組合の危機、1997年から1998年にかけての新興市場危機、そして2000年におけるインターネット・バブルの崩壊と、何度も危機が発生しています。

これらの金融危機のどれについても、危機が起こるたびに政府が介入して、破綻しかかった金融機関を合併などの方法で救済しました。同時に、マクロ経済対策として金融、財政の両面から刺激を加えていったのです。
そして、こうした救済政策は、信用とレバレッジの成長という支配的なトレンドをいっそう助長し、次のバブル発生と金融危機を招くことになりました。

 

ワシントン・コンセンサスの呪縛

第二次世界大戦後に再建された国際金融システムは、公平な競争のための場所ではありません。

IMFと世界銀行というふたつの国際金融機関は、実際には株式会社として設立されました。しかも、富裕な先進国の持ち株が圧倒的に多く、必然的に先進国の意向が反映されやすくなっており、発展途上国は先進国に比べて不利な立場に置かれています。

事実上、IMFや世界銀行を牛耳ってきたのがアメリカであり、国際金融システムの指導原理を「ワシントン・コンセンサス」と呼んでいます。

国際金融システムは、事実上二段階の構造となっており、自国通貨で借金ができるのが先進国であり、発展途上国は自国の通貨でなく先進国の通貨でなければ借金できないのです。

こういった要因のため、先進国で金融危機が発生すると、国際金融システムを維持することが優先され、その結果、発展途上国は深刻な不況に見舞われてしまうこともあるのです。

 

ジョージ・ソロスの考え方は、「人間の行動は常に不確実性に満ちており、それゆえに金融市場における市場価格は常に不均衡」という考え方に立っています。そして、人間の行動は反復的であるため、危機は周期的に発生すると結論づけています。

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