焦っちゃう人必見!「テンパらない」技術
「テンパってしまって…」と口にしたり耳にすることはよくあります。
本書「テンパらない技術」の著者は精神科医であり医学博士です。一見すれば医学的な内容と思っても仕方ないでしょう。
しかし、ビジネスにおいてテンパることは生産性を低めることになります。ご自身が当てはまるのならばもちろん、テンパってしまい仕事がうまくいかないと思っているビジネスマン本人またはそんな人が職場にいて困っている人、その傾向がある部下を持つリーダーにも役立つ一冊としてご紹介します。
テンパってしまう原因は当人の問題だけではない
「テンパる」という言葉の元々の始まりが麻雀用語であり、意外にも現在通用しているものとは間逆のような解釈を持った段階があることも語られています。
数年前までガラケーが全盛であったのが今やスマホが席巻しようとしています。社会全体の変化は凄まじいスピードです。スピードだけでなく複雑化する社会、緩むことのない企業内外の競争。
本書では、人が限界に達し混乱に陥るのは当人の内的な問題だけでなく環境にもあることを指摘しています。
テンパることにもメカニズムがある
単純に能力の低さで片付けられてしまいがちな「テンパり」。しかし、それにも明確なメカニズムがあります。
テンパるのは防衛本能、危険を回避しようとする至極当たり前な仕組みから始まるのです。この仕組みの働き過ぎがテンパる状態です。著者は脳の分野や神経伝達物質の働きを通じて、医学専門的にならないレベルでこれを解説しています。
スポンサーリンク
テンパりを抑える術とは
メカニズムがわかればそれへの対策を立てることができます。しかしながら、ビジネスの中で「待ったナシ」という状況はよくあります。
根本的解決は時間がかかるものです。それを待ってはいられません。テンパってしまった時の応急処置についても本書では記されています。
- 鏡や、映像、画像の活用
- 短時間での区切り
- 一時離脱と一時休止
- 副交感神経を刺激する呼吸法
- スローな行動と言動
そして、習慣や食事など日常的に注意すべきこと、やるべきことも列挙しています。
- 大事なこと、そうでないことの仕分け
- 脳の負担を軽減するにはメモ活用
- メールやSNSとの上手な使い方とつき合い方
- 精神的に落ち着ける栄養源
また、テンパらない人格育成法として次のことにふれています。
- 良き手本「メンター」を持つ(フィクションの登場人物でもよい。)
- 新しき経験を恐れない
- 失敗談をネタにしてしまう
- 「悪い完璧主義」を放棄する
- ゼロリクスはありえない
周囲のテンパりに対処する
脳のメカニズムがテンパりに影響することがわかってきました。外見や性格が人それぞれ違うのと同じように脳も一人一人違います。
元々「わかりあえないことが普通である」との認識が必要とする、ある脳科学者の意見を著者は紹介しています。意思疎通できないことに充分な理解を持たないと、単にグチや批判・中傷に終わってしまうのです。
自分と相手とは脳も違うのだと認識しておけば余裕が生まれます。結果自分もしくは相手を変に混乱させるに至らずとなるというのです。また、テンパる上司にいかに接するか、テンパる部下へどうアドバイスするかを綴っています。そして最終的に職場にテンパりが伝染しない、職場全体にイライラを募らせない術を記しています。
テンパったらそれを財産にする
テンパってしまった時に最終的に何を成すべきか、次につなげるにはどうするのか、ということになります。
反省するのは当たり前ですが「前向きな反省」をせよと言っています。刺激を受けた脳神経細胞はそれ同士の結びつきが強くなります。
これはポジティブ、ネガティブ、どちらの方向にも結びつきます。テンパりも刺激です。ならば、前向きなポジティブな結びつきにすべきです。その為に「テンパりやすい状況リスト」の作成を薦めています。
これをとっかかりにテンパり克服につなげていくのです。そして最後には、イヤなことが重なり「テンパる」を超えて「キレる」状態に陥らない方法を紹介して本書を〆ています。
本書のまとめ
自己嫌悪、挑戦回避ではテンパりを解決できません。テンパりとキレるは似たようなものであり、これにより自らの人生に最悪の結果をもたらし職場にも害を及ぼす可能性を本書は示しています。
あわせて、テンパりはメカニズムがあるのでそれを抑制する方法を書いています。それらは単純な方法だと思えるかも知れません。しかし、そんな単純なことさえも見失っているからこそテンパるのです。
本書の前半で「視野狭窄」という言葉が登場しますが、テンパりに対する、ある意味「視野狭窄」の状態を取り除き、明るい生活、明るい職場を築くことを学べます。